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January 05, 2004
ダイビング・日本人・アメリカ人

年末はMexicoのCozumelにダイビングに行ってきた。

CozumelはCancunの沖合いの島で、島の周り全体に強い潮が流れている。そのせいで、透明度は高く、潮に乗って大型のエイが10匹、20匹と群れをなして泳いでいるのに出会える。

大抵、朝7時半くらいにボートで出発、適当なところでドブンと飛び込んで、後は潮に流されながら、洞窟や絶壁などの海底の地形や魚を見る。

****

私はダイビングを怖いと思ったことがない。ちょっと心拍数が上がったことはもちろんあるが、パニック状態になったことは一度もない。

まだ初心者で、数本しか潜ったことがない頃、フィリピンの誰も知らない島の沖合いで、ボートから一番に飛び込んだ。一旦水中に沈んだのち再度浮上、水面で周りを見回したら、うねる海面しか見えない。そういう時はすぐ水中に潜ると周囲が見渡せるので、他の人たちに出会える・・・のだが、それも知らないくらい素人だったので、
「もしかして、これで人生一巻の終わり?」
と思いつつ、海面で5分ほどプカプカしていた。そのときも、心臓バクバクという感じではなかった。(単に恐怖で思考停止していたのかもしれないが・・・・)

一方、アメリカ人の経験の浅いダイバーは、すぐパニック状態になる。といっても暴れたりするほどではないが、「心臓が破裂するかと思った・・・」という類の告白をよく聞く。

今回も、ミネソタから来たFredがパニックになっていた。「自分はエアの消費量が多いから」と言って、殊勝にも大容量のタンク(スチールのヤツです)を背負っていたのだが、それでも潜って20分ほどでいきなりエア切れ、他のダイバーから緊急でエアを分けてもらうという事態に。ところが、ヨーク見たらまだ随分エアが残っていた、というおまけ付き。あまりのパニックで残量ゲージの針が見えなくなったんだそうだ。

Fredは建設現場の仕事をしている肉体労働系の人で、超頑丈そう。私が二重に全身を覆うウェットスーツを着て、それでも2本目は寒いというのに、彼はずっとTシャツに海パンで潜っていた。全然寒くないんだそうだ。体力熊系、ですね。それでもパニック。

他にも、テキサスから来たaerospace engineerのDonnyという男性も熊系に見受けられたが、初日いきなり40メートル潜ったら(ダイビングスタンダード的には深い。テニスボールがつぶれるくらいの圧力がある)その後は、見るからに蒼白になり、二本目は早めにギブアップ。翌日彼の奥さんと、彼がいないところで話していたら、実は彼は超怖がっていたことが判明。

この手の話はやたらによく聞く。もちろん、日本人のダイバーもパニックになることは多々あるのだろうが、日ごろ非常事態に強いアメリカ人がなぜにしてすぐ心臓バクバクになるのか。

よくよく聞いてみると、どうもダイビングの教え方に理由があるようだ。アメリカでは「こうしたら死ぬ」ということをコンコンと教えられるらしいのである。
「Judyは、間違って重いウェートを装着したため、ボードから飛び込むやいなや、激しいスピードでずぶずぶと沈んでいって、そのまま死亡」
みたいな「怖い話」をたくさん吹き込まれるらしい。(ダイビングを一度でもしたらわかると思いますが、殆どの場合「なかなか潜れない」のが問題。石のように沈むことなどまずありえません。)

ダイビング雑誌を読んでも「テクニカルレッスン」みたいな特集で、まず必ずといっていいくらい毎号死亡事例のケーススタディが載っている。
「単独で洞窟を潜っていたTerryは、エアの残量がXXしかないことに気づき、激しいパニックに襲われ、方向感覚を失った」
とか。死んだ人の話なんだから、何がどうなったかなんてわからないではないか、、、と思うのだが、迫真の実話(風)に仕上がっている。

一方、日本のレッスンはもちろん、してはいけないことを教わるが、基本的には「怖くないですよー。楽しくやりましょうねー」的な感じが強いような気が。(潜水部、とか、そういう体育会系は知りませんが)ダイビング雑誌は、もちろん「青い空・青い海・ビキニのおねーちゃん」というウキウキ風。

きっとこれは、「すぐ勝手に判断して、強気な行動に出がちなアメリカ人」と「言われたことをジッと守るのが得意だが、なかなか冒険しない日本人」という特性に合わせた教えなのであろう。

今回一緒に潜ったうちの一人は日系3世のPat。Patいわく、ハワイでインストラクターが初心者ダイバーの日本人の女の子を海底に座らせて「ここで待って」と指示し、その場を離れ、そのまま彼女のことを忘れてしまった、という事件があったそうだ。彼女はエアが切れるまでジッとそこで待ち、そのまま死亡。Patは3世といっても、2世はお母さんだけで、お父さんは純粋日本人ということで、日本人気質に詳しいのだが
「死にそうなのに、言いつけを守って動かないのはとってもJapanese」
と。かくいう私も、誰もいない海面でプカプカ5分も浮かんでいた実績から類推するに、「ここで待ってて」と指示されたら、そのまま死ぬまでジッとしていた可能性は大いにある。でも、アメリカ人だったら何らかの行動に出るんだろう。多分。

死んでしまった人に何が起こったかは誰にもわからないが、Patと2人で
「That's a very Japanese way to die」
と語ってしまった。

一方、アメリカ式レッスンも、たくさんの人をパニックに陥れるほど恐怖を植え込むのは、いくらなんでも行き過ぎのような気もするが、そうでもしないと
「お前が40メートル潜るなら、俺は60メートルだ!」
みたいな無謀な行動に出る人が続出する可能性は大。必要悪ということか。

ところ変われば品変わる。ダイビング一つ教えるにも、相手を知らなければならないんですね。


<海の中では愛でられる魚も、陸に上がれはいきなりカラ揚げ。El Naviganteでのランチ。一番上の写真もこれもOlympus4040で撮影>

Posted by chika at January 05, 2004 11:45 PM | TrackBack
Comments

お世話になってます。Yuasaです。

たぶん、ダイビングのスタイルの違いによるものだと思います。日本ではライセンス(Cカード)取得後も、ショップのインストラクターやガイドの指導の下で潜りますが、アメリカではライセンスを取れば、自由に潜れるのではないかな?Dive Masterがいなきゃいけないとかいう制限はあるのかも知れないけど。

アメリカでは潜ったことないのですが、イギリスではそんな感じでした。ショップに行ってもトレーニングのクラスはあるけど、ファンダイブのツアーはやっていませんでした。

あと、頑丈な人のエア消費が早いのはTrueだそうです。坂口征二(新日本プロレス)が潜ったとき、いつもダブルタンクだったという話を聞いたことあります。

Posted by: K.Yuasa on January 6, 2004 08:42 PM

Chikaさん、はじめまして。sudaです。よくBlog訪問させて頂いています。Chikaさんの撮る写真も(特に11月23日のシャガール牛とシャガール目の猫)、文章もとても好きです。

アメリカ人がダイビングの初心者を脅すのは、アメリカ人は何かあったら訴える可能性が強いからじゃなですか?何か起こった時、レッスンの時皆の前であれだけ忠告した!と言って他の参加者達が承認してくれれば、訴えられても身を守ることができるし。

Posted by: Fujiko Suda on January 7, 2004 08:41 AM

Chikaさん、はじめまして。sudaです。よくBlog訪問させて頂いています。Chikaさんの撮る写真も(特に11月23日のシャガール牛とシャガール目の猫)、文章もとても好きです。

アメリカ人がダイビングの初心者を脅すのは、アメリカ人は何かあったら訴える可能性が強いからじゃなですか?何か起こった時、レッスンの時皆の前であれだけ忠告した!と言って他の参加者達が承認してくれれば、訴えられても身を守ることができるし。

Posted by: Fujiko Suda on January 7, 2004 08:41 AM

Yuasa-san

そうですね。確かに。Hondurasに行った時は、ダイブマスターどころか、バディなしで一人でも潜らせてくれました。(それも夜11時まで!)

ちなみに、私実はアメリカ本土では潜ったことがありません。ベイエリアは寒いので。でも、このあたりのダイブショップではファンダイブのツアーやってますよ。そんなに頻繁じゃないですけど。

Suda-san

ご愛読ありがとうございます:-) 最近、もうちょっとまじめに写真を学んでみたいなぁとちょうど思っていたところでした。

訴訟は確かにとても気にしていますね。以前キュラソーに行った時は、タンクのセッティングも、絶対自分でしてくれ、と言われました。リゾートダイバーで、全部いたせりつくせりやってもらうのに慣れていた私は呆然としました。(呆然とする私に周りが呆然としていましたが)

ただ、雑誌の死亡事故記事は訴訟とは関係ないのでは・・・という気が・・・。

Posted by: chika on January 7, 2004 10:00 PM

I was surfing along and came across your website. I really enjoyed it. Thanks! This site is very informative. I hope to see more in the near future, Wishing you all the best!

personal government grants

Posted by: personal government grants on March 24, 2004 12:07 PM
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