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August 31, 2003
男子の学問下等市民化

USA TodayのGirls get extra school help while boys get Ritalin
学力的にみて、男子が目だって女子に遅れを取りつつあるという記事。Ritalinは落ち着きがない子供に処方される薬。女子が様々なサポートを受けて勉強に精を出す間に、男子はRitalinで骨抜きになっている、という感じのニュアンス。

At last June's graduation at Franklin High School just outside of Milwaukee, three of the four students who tied for valedictorian were girls. Among the National Honor Society members, 76% were girls. And girls comprised 85% of the students on Franklin's 4.0 honor roll.
Milwaukee郊外の高校を1番で卒業した4人のうち、3人が女子。国レベルで優秀な学生を集めた組織のメンバーも76%が女子。

In 12th grade, 44% of girls rate as proficient readers on federal tests, compared with 28% of boys. And while boys still score slightly higher on federal math and science exams, their advantage is slipping.
高校3年生では読解力は断然女子が優位で、数学や科学での男子の優位もなくなりつつある。

56% of the students on campuses are female.
大学生の56%も女子。

なぜか。

One reason boys are losing academic ground to girls appears linked to a shift by schools to more word-based learning for which girls' brains are believed to have an advantage.
学校での教育法方が、より言葉を用いたものになりつつあり、言語能力に勝る女子に優位、というのが一説。

85% of teachers are women.
先生の86%が女性(なので、女子に注意が行き届きやすい)ということも関係あるかも。

いずれにせよ、このままではいけないということで、様々な「男子救済策」が検討されようとしている。例えば、

...boys' natural tendency to favor active learning by conducting more class work on the chalkboard and allowing more student movement within the classroom.
アクティブな学習を好む男子向けに、教室で動き回れるようにしたり、

because boys volunteer answers more slowly than girls do, teachers are told to count to 10 before calling on a student.
男子は手を挙げるまでに時間がかかるので、先生に、生徒を指すまでに10数えるように指示したり、といったこと。
*****

日本でも、同じような「学校の勉強女子優位現象」は随分前から起こっているのではないか。少なくとも「女の子だから男の子より勉強ができない」ということはないはずだ。その上、日本では、大学受験までは、勉強の場で男女差別などない。点数がよければ受かる、という大変公明正大、平等な世界だ。

それが突然社会人になると「女は男に比べて劣る」という摩訶不思議な「常識」が登場する。

男に比べたら、女は確かに体力と腕力は劣る可能性が高い。体力は持久力で「身体活動の積分値」、腕力は瞬発力で「身体活動の微分値」と定義しよう。体力のほうは、仰天するほどすごい底力の女性もいるが、まぁ腕力のほうはなかなか敵わない。

商社時代の総合職女性友達にはずば抜けた体力を持つ人たちがいた。一人は、20代の頃は「1週間でトータル10時間寝れば大丈夫」と豪語。もう一人も、毎日就寝時間が平均して3時を回っていたはず。その2人の間では残業あとの朝二時の長電話、という恐ろしいことが行われていたらしいが、私は平均睡眠時間8時間人間なので「10時以降は電話しないで」とお願いする軟弱さでありました。

もとい、その2人も、腕力では男性にやはり敵わない(はず)。

しかし、現代のホワイトカラーの仕事の場で「腕力」が必要なことは果たしてどれくらいあるのだろうか。もちろん、比ゆ的な意味でなく、「身体活動の微分値」としての腕力だ。まず必要あるまい。引越しの時など便利だが、それだって引越し屋さんにお願いすれば事たる。書類やPCくらいだったら、重いといってもさすがに持ち歩ける。

それにも関わらず、男性の優位を当然のことと思っている人が一杯いる。少なくとも私はたくさん出会った。「一体全体この自信はどこから来るのだろうか」と不思議に思ったものだ。それほどよく知らない同期に「働く女性というはきっと大変だろうから助けてあげよう」と面と向かって言われたこともあった。好意はありがたいのだが、彼にできて私にできないことはなんだろうか、とこれも不思議に思ったものだ。

やがて、どうもそこには、私が知らなかった「社会の一般常識としての男性優位概念」が、日本人全体にユング的普遍的無意識としてドドーンとある、ということを(遅ればせながら)薄々感じるようになった。

これは、思うに多分江戸時代の部落民制度のようなものではあるまいか。なんら他の人たちと変わらない一部の人たちを被差別階級とすることで、実は悲惨な生活を強いられている大多数の農民を「まだまだ自分たちなど幸せだ」と思わせる、というのが部落民制度の起源(と習った)。同様に、言われなき抑圧を受けている日本男性(=農民)に「それでも女(=部落民)よりは俺の方が優秀だ」と思わせることで、社会不安を防いでいる、という気がするんですが。・・・男も女も、みんな大変な国であるなぁ。。。。。

Posted by chika at 11:36 PM
August 28, 2003
来年のbig IPO候補

最近黒字転換しているベンチャーの噂が増えて来ている。黒字で成長率が高ければIPOできる。どんな会社があるか。

いわずと知れたGoogle。売上げは$200Mから$800M(1000億円近い)までいろいろな数字がささやかれているが、どちらかといえば上のほうらしい。IPOしたらmarket cap $1 billion (約1200億円)以上となるとも言われる。なかなかIPOしない最大の理由はemployee retentionとも。「IPOしたら大金持ちになってやめてしまう社員がたくさんいるから」と。。。

Salesforce.com。sales force automationのASP版だ。Business Weekの9月1日号には5-7月の3ヶ月の売上げは$21.6Mで利益が12万7千ドルと。とすると、2003年1年間の売上げは多分$100M(120億円)は超すだろう。

$100M超の売上げといえばBlue Nile。ダイヤモンドをオンラインで売る、という超シンプルなビジネスモデル。今年は$100-120Mの売上げ予測らしい。これはFounder & CEOが私のビジネススクール時代の同級生。

共通項は「シンプル・簡単・わかりやすいビジネスモデル」。さてさて、どうなりますか。。

Posted by chika at 09:46 PM
Silicon Valleyの噂

昨日(水曜)午後3時に、Scott McNealyがゴルフしていたそうだ。Sand Hillの、MayfieldなどのVCがいる建物のすぐ脇にあるSharon Heightsというゴルフ場。大丈夫だろうかSun!!

ちなみにそのゴルフ場は、Siebel SystemsのTom Siebelも最近メンバーになったそう。超豪華なクラブハウスも最近完成した、会員権数10万ドルのコースです。

Posted by chika at 06:39 AM
August 26, 2003
Silicon Valleyの空洞化

San Jose Mercury NewsのSome technology jobs head abroad -- and they may not be coming back

In the next five years, technology jobs paying $40,000 to $80,000 a year in Silicon Valley will be a ``vanishing breed,'' San Jose's Office of Economic Development warned at a weeklong conference that wraps up Thursday.

4-8万ドルというと、500万から1000万円というレベルだが、そういうあたりの技術関係の職がなくなっていく、ということ。

Tens of thousands of jobs have moved overseas. Forrester Research says 3.3 million more jobs are headed that way by 2015.

なぜなら海外に流出してしまうから。

It started with call centers, data processing and lower-level jobs. Now, the trend is moving up the job chain to basic chip and software design positions. Positions like the $40,000-to-$80,000 jobs in Silicon Valley.

コールセンターから始まり、今後は基本的なチップやソフトウェア設計の仕事が海外に行く。そういう仕事のサラリーが4-8万ドル、ということ。

以前ラジオでインドのコールセンターに関する番組があった。驚いたことに、そこで働く人たちは、イギリスの会社のコールセンター業務をアウトソースするときはイギリス英語、アメリカの会社がクライアントの時はアメリカ英語に自在にアクセントを変えられるのである。で、インタビューに答えるときはバリバリのインド人英語。すごいなぁ。それって、私が関西弁と東北弁でコールセンター勤めをするようなものだ。相当な訓練が必要だ。

アクセントのみならず、コールセンターで処理される内容もかなり高度だ。そういうことができる、高い教育を受けた人材がやすく雇えるということでインドなどにコールセンターの仕事が流れているのである。で、それがだんだんバリューチェーンを上ってきて、今度は基礎レベルのエンジニアの仕事がアメリカからなくなっていく、という予測。

ちなみに、昨日書いたBusiness2.0のビジネススクール比較では、India Institute of Managementも載っていた。94740人の応募者の中からたった250人だけが合格できる狭き門。その大変優秀な卒業生が平均年収13,000ドルで雇えてしまうんだそうだ。150万円。。。。。そういう国にはかなわない。

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グローバルに仕事が移転する時代では、ある時首を切られて、それ以降全く仕事がなくなってしまう、ということが十分起こり得る。

なんというか、海辺の絶壁を想像してしまう。水際ぎりぎりにぽっかり横穴が開いていて、その中で安穏と暮らしていると、だんだん潮が満ちてきて、海の水がじわじわと穴の中に入ってくる。今にまた潮が引いて、元通りの安穏とした暮らしに戻れるのではないかと思って耐えているが、ついに水は腰の辺りを超え、首あたりまで来る。どこかで決意して、荒海に泳ぎ出て、さらに上のほうにある穴によじ登った人だけが生き残ることができる。

常に自分のスキルレベルをアップしないと無限に満ちてくる満ち潮に飲み込まれる。学校に戻ることも一つだし、違うスキルが身につく仕事に移ることも一つの方法。いずいれにせよ、「これくらいで小さな幸せ。。。」というほのぼのした生活を守るのは難しい。

とはいうものの。最後の最後まで、誰かが横穴の入り口に壁を作って守ってくれるけれど、ある臨界点を超えたところで壁が壊れて怒涛のように水が入ってきて、わけもわからず外に流しだされて周りを見たら、全てが水没して何もなかった、というシナリオもありえるわけで。それよりは、少しずつロッククライミングしながらスキルアップできる方が助かるのは確かである。

Posted by chika at 10:42 PM
August 25, 2003
Stanford MBA on Business2.0

Business2.0の9月号、The Employer's Guide to the 25 Best Business Schools(まだオンラインでは公開されていないようだ)。Columbia, Harvard, Chicago, Northwesterなどなど25校のビジネススクールをProspects, Rolodex, Team Player, Tech Savvyの4項目で採点してある。見込み、人脈、チームプレー、技術の明るさ、とでも言いましょうか。唯一StanfordだけがオールAであった。この手のランキングだと、必ず低く評価されることが多い学校だけに卒業生としてはちょっとうれしい。A3つはNorthwesternでTechだけB。A2つはMIT(RolodexがBでTeamがC),Harvard(TeamがDでTechがB)、Columbia(ProspectがBでTeamがC)、となっております。MITのTeam Cはちょっと意外だが、技術オタクで対人関係NGの人が多いということなのだろうか?

Stanfordも結構鼻高々で嫌なやつもいるのだが、それでもTeam PlayerでAということはDのHarvardはどうなっているのであろうか。そもそも、Stanfordみたいな西海岸のナゴナゴしたムードを嫌う人がHarvardに行くという「本質差異論」もある一方、一皮向けばどっちも一緒だが、少なくとも表面的にはきっちり取り繕う術を学ぶのがStanfordという「羊の皮説」もある。真実は多分その中間にあるのでは、と思うが。

ちなみに同じ記事によれば、Stanfordの卒業生の初任給が一番高いんだそうだ。(といっても、2位のHarvardとの差は1450ドルしかないが。)この差はTeam Player分の貢献か、Tech Savvy分の貢献だろうか。。。。

Posted by chika at 09:32 PM
August 24, 2003
州知事選挙

現州知事のGray Davisのrecallに伴い、その後釜を狙う選挙に100人以上(!)が立候補している。20の学生から、蝋燭職人から、I'll be backのSchwarzeneggerまで、もう何がなんだか。今のところ一番有力視されているのはRepublicanのSchwarzeneggerとDemocratのCruz Bustamanteである。Bustamanteはその名の示すとおりヒスパニックで、ヒスパニックの多いカリフォルニアでは有力。だが、Schwarzeneggerも「貧しい移民からのし上がった」というイメージで同じ層に訴求しようとしている。
(とhないうものの、Schwarzeneggerは移民してきたとき既にボディービルで有名、かつジムのオーナーでもあったらしく、「貧しい移民」というのは単なるイメージに過ぎないようだが)

一方、去年に続き今年も州知事に立候補したRepublicanのBill Simonが昨日(土曜)にこれ以上の選挙活動を断念。DemocratのDavisから、Schwarzeneggerという裏技でなんとしてでもカリフォルニア州知事の座を取り戻したいRepublicanが、票が割れるのを嫌ったということもあるし、人気投票調査で8%しか得票できなかったということもあるようだが、いずれにせよ、笑顔がわざとらしくて気持ち悪い立候補者が一人減った。(人気調査では、Cruzが35%、Schwarzeneggerが22%だった)

ちなみにSchwarzeneggerの生い立ちを追った記事はARNOLD SCHWARZENEGGER AS ... THE CONTENDERへ。

SchwarzeneggerとBustamanteという、発音の難しい移民そのもののラストネームがトップを競い、Simonという普通の名前が脱落、というのは、Californiaを象徴する出来事といってもよいのでは。これほど人種、民族が全ての社会階層で交じり合った場所も珍しいだろう。例えば東京都知事選で、キムさんとチャンさんが人気を争い、山田さんが脱落する、というようなことは、まずあと30年くらい起こらないだろう。

交じり合った、といえば、San JoseやPalo Altoが含まれるSanta Clara Countyでどんな人が家を買っているか、というWho's Buying?という記事があったが、2003年にSanta Claraで家を買った人の名前を多い順に10個挙げるとこうなるそうだ。
1. Nguyen, 2. Tran, 3. Lee, 4. Garcia, 5. Pham, 6. Le, 7. Kim, 8. Martinez, 9. Gonzalez, 10. Lopez
1,2,5,6はベトナム人、7は韓国人、4,8,9,10はヒスパニック。3のLeeは普通の白人のこともあるが、ベトナム人、韓国人、中国人のケースもある。多分後者では。

Posted by chika at 09:07 PM
August 20, 2003

最近テクノロジーがらみ、ビジネスがらみで、たいしたニュースがない。夏休みシーズンだから、誰も何もしてないということか。。。月曜にはAirgoという会社が802.11aのチップセットをアナウンスした、というニュースのがSan Jose Mercuryの一面にでかでかと載っていた。既に何社からも802.11aのチップが出ている以上、いまさら802.11aをそれほど大きく扱うものなのか、とも思うが、他にニュースがないんだろう。製品リリースを8月にするのはいい案かも知れない。しかし、記事を書く記者のほうも夏休みという可能性はあるのだが。

今年のベイエリアの夏は涼しめ。Palo Alto近辺は、6月終わりに40度近くなる日が数日続いたのだが、それ以降は夜15度、昼25度、という感じだ。しかも、7月終わりにはな、な、なんと雨が降った。通常5月ごろから11月ごろまで1滴も雨が降らないものなので、天変地異。日本はもっと異常気象のようですが。

というわけで脱力系今日のblogでした。

Posted by chika at 09:51 PM
August 19, 2003
あ”-

今日は、去年からあれこれ画策していたベンチャーが、先月末ついに最初のfundingを受けられた知り合いとランチ。最初はagnelから$1M位raiseしたいと言っていたが、結局angelとして投資してくれる個人を見つけるのは困難と断念、増資額を上げてVCから投資を受けることにしたんだそうだ。angelからの投資の方がvaluationを高めにできるので最初のファンディングとしては好ましいのだが、誰も財布の紐を緩める人がいないなら仕方ない。とりあえずはめでたしである。

ランチの後、銀行でちょっとした事務処理を依頼する。「会社の当座口座のインターネット取引画面から、同じく会社の利子のつく方の口座(Savings Account)も同時に見えるようにしたい」というシンプルな依頼。しかし、数日前からあれこれトライ、2度の電話と3回の支店行きを経てやっと実現したので、シンプルなように見えて全然シンプルではなかったのである。

出だしからの顛末はこんな感じだ。
1)まず電話で依頼。「あなたの口座の場合、支店に行かないとだめ」とのこと
2)支店に行き、依頼するも「既に二つの口座はLinkされている」とすげなく
3)会社に戻ってオンラインバンキングにアクセスするがやっぱりsavings accountの方は見えない
4)再度支店へ。savings accountが見えないことの証明に、オンラインバンキングの画面をプリントアウトして持参するが、それを見せても「でもlinkされている」とすげなく
5)会社にまたまた戻って銀行のカスタマーサポートに電話。私がして欲しいことを実現するには、支店の行員がどのフォームで何を社内申請すべきかを聞き、メモにとる
6)メモを握り締め支店へ。行員は私のメモを怪訝そうに見ながら「こんなの知らないよ」とでも言いたげなため息をつきながら、銀行のイントラネットを探しまくり、やっと必要なフォームを見つけ、プリントアウト、数箇所サインして終わり。

わたしわもう、あ”-とさけんでしまいましたぁ。。。とコギャルしてしまいたくなるような脱力なできごと。どうして私が行員教育をせなあかんのだ。しかし、アメリカ暮らしってこういうことがわんさかあるので、いちいち怒っていては疲れるだけ。。。。ちなみに、上記5で電話に出てくれたカスタマーサポートの人は知識豊富かつ親切で「ごめんなさいねー」と謝ってくれた。きっとインドかどこか、アメリカ以外のコールセンターに違いない。じゃなきゃ、こんなにまともな対応が返ってくるはずがない、と勘繰ってしまう。

ちなみに、ここで行った支店は以前書いたスバラシイ行員Michaelがいる支店ではなかった。会社から徒歩1分のところにあった銀行が私の銀行に買収されたので、最近登場した支店である。その著しい近さから、ついくらくらと海のものとも山のものとも知れない支店に行ったのが間違いの元。「アメリカでは一度捕まえた使えるプロフェッショナルを手放してはいけない」というのが改めて感じ入った今日の教訓です。

しかし「あに点々」というのはどう発音するんであろうか。なんとなくドイツ語のRかCHみたいな感じかと想像するんですが・・・・。

Posted by chika at 09:49 PM
August 13, 2003
人の助けを請うこと

去年、遠路はるばる中国からやってきて、Palo Altoの病院で心臓病の手術を受けた
赤ちゃんがついになくなってしまった。

SJ MercuryのStruggle inspires lifeworkにはこうある。

When Kexin was only 7 months, doctors in China, a country that limits families to one child and values boy babies more, diagnosed her heart defects but said there was no hope. They said Kexin would not live past 2.

1人っ子政策で女の子は生まれても捨てられることすら多い国である。(余談だが、アメリカ人は中国から養子をもらってくることが多いのだが、もらわれてくる赤ちゃんはほぼ全て女の子だ)

Rui Cao endured 17-hour train rides in her native China, begged on the streets of New York and twice flew halfway around the world during her desperate 2 1/2-year fight to find a cure for her daughter's congenital heart defects.

まだ若い母親は、「もう諦めたら」という周囲の声に負けず、中国中を駆け回り、さらにはNew Yorkまで来て、路頭で物乞いをしてまで資金を集めて、よい医者がいるという話を聞きベイエリアにやってくる。

Though Kexin's recovery after surgery was not going smoothly, her death was unexpected.

最初の手術の予後は悪く、2回目の手術でも思わしい結果が出ない。次の3回目の手術で何とか、と期待していたが、突然亡くなってしまった。Kexinは赤ちゃんの名前。母親のCaoは、これから中国に戻って、恵まれない赤ちゃんを助けるために孤児院を開きたい、と言う。

Cao said she wants those who tried to help her and her daughter -- more than 3,500 people donated more than $380,000 to her cause -- ``not to be discouraged about not being able to save her life.・・・All of those people who helped will impact the way I help other people in the future.'

母親は、アメリカで38万ドルという大金(4500万円超だ)募金を集めて手術の費用に当てたのだが、彼女はまた寄付をした人たちにがっかりしないで欲しい、という。助けてくれた人は、Caoがこれからたくさんの子供たちを救うきっかけとなったのだから、と。

*****

``On the afternoon before she passed, Kexin said, `I really can't stand this. Can you carry me and help me?' I came to realize life is not under any human's control. God has his own time for everything.''

死ぬ直前の子供に「もう我慢できないから助けて」と言われ、初めて母親は「命には、神が定めた時間がある、どれほどただの人間である自分が努力しても救えないことがあるのだ」と悟ったと語る。

普通の人だったら、とうの昔に諦めるだろう。「もう一人生めばいいじゃない」と家族にも友人にも言われた、と記事にはある。アメリカで手術を受ける費用の莫大さや、中国の一人っ子政策などを考えれば、諦める方が普通なのではないか。それを、強引にアメリカにわたり、行く先々で人の助けを請い、自分でも物乞いまでして、手術にこぎつける。それも2度も。38万ドルという資金を集めるのは大変なことだ。単に寄付をした人たちもさることながら、募金活動をした慈善団体は、英語のできない母親と子供の住むところから通訳まで、お金では買えないこまごまと世話をしたはずだ。

それだけの人たちを巻き込んだ彼女の行いは、強引でわがままだ、と言ってもいいかもしれない。しかし、そのわがままさは、広がりのあるわがままさだ。彼女の強さに深く感動を受け、勇気を与えられる人たちもたくさんいるだろう。また、彼女の努力で本当にこれから中国で、素晴らしい孤児院ができるかもしれない。一度明日をも知れぬ身で、病身の子供を抱え、言葉のわからない国で物乞いまでしたことを思えば、相当の苦難は乗り越えられるのではないか。また、その彼女のストーリーに感銘し、資金を出す人も出てくるだろう。

「人の助けを受ける」のは大変なことだ。人は誰しも、実は助けてもらうより助けてあげたいと願っている、と心理学の本で読んだことがある。助けてあげる、というのは人間の本質的な欲求らしい。確かに人助けはとても心が温まる。一方、助けを受けたときは、真摯にその善意を受け止め、それに値する何かを実現しなければならない、という使命を負う。

日本では、知らない人は結構冷たい。重い荷物を持って腰が抜けそうでも助けてくれる人は稀だ。「日本人は冷たい」という人もいるが、もしかしたらそうではなく、単に繊細で遠慮深いのかもしれない。「善意を受けるということは重荷だ。重荷になるようなことを相手にするのは悪いんじゃないか」と、あえて知らぬ振りをしているという側面もあるのではないか。

しかし、そうやってみんなが遠慮しあっていると、物事はだんだん縮小していってしまう感じがする。ちょっとわがままでも、強引でも、「私はこれがしたい。でも一人ではできない。だから助けて。」と強く言う人と、それに応える人がいることで、新しい何かが生まれていくんじゃないか。

もちろん、広がりが出るような助けを求めるには「自分でできる限界まで努力した」ということを示せなければだめだ。Caoが物乞いをしたように、だ。

Caoの行為は、まさにアントレプレナー的である。今まで誰もしたことのないことをゴールに、常軌を逸した努力を重ね、多くの人に影響を及ぼして実現に向けてまっしぐらに進んだ。今回は、とても残念な結果に終わってしまったが、彼女はきっとまた新たなトライをするだろう。それが孤児院になるのかどうかはわからないが、恐らく何か素晴らしいことを実現してくれるに違いない。

Posted by chika at 10:29 PM
August 08, 2003
サーチエンジンVivisimo

少し見ない間に、メタサーチのmetorはなくなり、Vivisimoがパワーアップしていた。Vivisimoはサーチ結果をクラスタに分けてくれる機能が楽しい。対象ページの中に含まれる言語を解析して、グループ分けしてくれるのである。例えばこのたび正式にカリフォルニア州知事に立候補した"Arnold Schwarzenegger"で検索すると結果はこんな感じ。
Arnold Schwarzenegger (204)
Fan (23)
Terminator (28)
Celebrity (16)
Bodybuilding (15)
6th (10)
Governor (9)
Hollywood (7)
Filmography (5)
Photo Gallery (4)
True Lies (7)
カッコ内は検索結果数で、やぱりまだ州知事よりターミネーターの方が上だ。

ページの上のほうのDEMOというところをクリックするといろいろ楽しいことが出てくる。例えばVivisimoのアラビア語版、Arabisimo(!)のトライアルで、CNNのアラビア語ページを解析したものはこうなる。イラクよりイスラエルが上、アフガニスタンよりワールドカップが上、とか。。。。(といっても、アラビア語があっているのか検証できないのだが・・・・)

CNN Arabic (1490)
إسرائيل (Israel) (529)
العراق (Iraq) (261)
كأس العالم (The world cup) (117)
الهند (India), كشمير (Kashmir) (97)
أفغانستان (Afghanistan), القاعدة (The rule) (79)
شركة (A company) (59)
قمة (A summit), الأرض (Earth) (55)
كراتشي (Karachi), الباكستانية (The Pakistani) (38)
السودان (Sudan), المتمردون (The rebellious) (27)
الفلبين (Philippines), أبو سياف (Abu Sayyaf) (26)

仕事での使い方としては、何か調べたいタームを入れてみて、そこで出てくるカテゴリー名からインスピレーションを受けて、さらに深く調べる、というようなことができる。日本語も検索できるが、クラスタリングの成果はイマイチ。

ちなみにVivisimoはカーネギーメロンからできた会社。カーネギーメロンはAIとか言語解析なんかではとても有名な大学なのである。

ちなみにChika Watanabeと入れたら、1位がJapanで、3位がBlog, 4位がanimeだった。(Chikaというアニメの声優さんがいるらしい)自分の名前でGoogleすることをVanity Googleというらしいが、VivisimoだったらVanity Vivisimo、となんだか華やかな感じですね。

Posted by chika at 09:55 PM
August 07, 2003
gender issue..

Katharine Grahamの話の続き。女性のempowermentについて。。

基本的に、私は多分女性に厳しい(というか、誰にでも厳しいという説もあるが・・・)。男女差別なんてあって当たり前である。でも、それはゲームのルールなのだから、そのルールのもとでどうやって楽しくやっていくかを考えるべきだ、と思っている。そもそも差別(というか、区別)は男女の間にあるだけではない。学歴とか家柄とか人種とか、いろいろなことで人間は差別される。そういうのは全て社会の「お約束」なのであって、そんなことにいちいち文句を言っていたら始まらない。女性の地位が先進国の中では最悪といってもよい日本ですら、女性がやりたいことがやれる程度の自由はある。もちろん、周りに白い目で見られるとか、いらぬ注目を浴びるとか、干渉されるとか、様々な問題はあるかもしれないが、そんなのは「ゲーム」の一部。乗り越えられないのは個人の問題だ。日本ですらそうなのだからいわんやアメリカをや。

・・・というような、情け容赦ない信念を持っているのであるが、Katharine Grahamの自伝を読んで、「うーん、やっぱり外部からの正しいガイダンスっていうのは必要なのかもしれないなぁ」と思ってしまった。Katharine Grahamともあろう人ですら、40台半ばまでダンナにけなされ続け、自尊心ずたずたで、全く自信なく生きていたという事実。ダンナの自殺という思いがけない事件で、グループ企業のトップとなり「場」を得たことで経営者としての能力が開花していく。Washington PostはKatharine Grahamの実父の会社だった。本当は最初から婿であるダンナではなく彼女が引き継いでもやっていけたはずだ。それなのに、「お前は馬鹿だ」と言わんばかりのダンナの精神的迫害に耐え続け、おどおどとした人生を送ってしまう。

その彼女が変わったのは、「場」が与えられたからだ。いろいろな人のサポートを受けはするものの、基本的には「強いビジネスマンであること」が要求される「場」に自分をおいたことで、彼女は生まれ変わる。もっと正確には「本来の自分が目覚めた」といった方がいいだろう。自伝には、20そこそこで胡散臭いサンフランシスコのローカル新聞の記者をしたり、優れた実業家の父親からの薫陶を受けたりと、仕事の場で生き生きとしている彼女の姿がある。

女性に限らず、人間は周囲の期待に応えたい、という願望が強くあると思う。誰もが仕事をするべきだとは全く思わないが、キャリアを望みながら仕事の場での成長が妨げられる女性が多いとすれば、それは学問・仕事面での女性に対する期待が低いことが最大の問題なのかもしれない。

昔社会人になりたての頃、雑談で誰かに「高校では学校で1番だったりしたの?」と聞かれたことがあった。そのとき、即座に別の男性が
「女の子が学校で一番になるはずないじゃないか、そんなこと聞くもんじゃないよ」
と会話を終わらせてしまったことがあった。驚いた。
「渡辺さんが一番のはずないじゃない」
だったらわかるけど、
「女の子だから一番になれっこない」
という発想はいったいどこから来たんだろう、と。それ以外でも
「君はいつ結婚するんだ」
と当時はやたらに聞かれた。なぜにしてそのようなことを聞くのかと思ったら
「結婚したらやめるでしょ?」
ということで何年間仕事をする気があるのか、という質問だったのである。内定式では、当時の副社長が
「そこにいる渡辺さんなどはそれほど経たない間に会社を辞めると思うが」
とご丁寧に名指しでスピーチをしてくれたこともあった。ほんの3-4年くらい働くだろう、という程度の期待だけで会社に入れてもらえたのである。めでたいことだ。

期待が低いと、普通のパフォーマンスをするだけでも、期待値をはるかに凌駕するため高く評価される、というメリットは高い。しかし、一般的には低い期待値の中に自分をおくと、その求められたもののレベルで成長が止まってしまう可能性の方が大きいのではないか。GEのように人事で有名な会社はどこも「ストレッチする」、つまりその人の現状の能力を凌駕する課題を常に与えることがその社員の成長に欠かせない、としている。

というわけで、「より高い次元の要求をされる場」に自分をおき続けることが継続的成長に欠かせない、と思うのでした。

Posted by chika at 10:25 PM
August 05, 2003
シリコンバレーB級グルメ・続編

最近てんやわんやしていて、blogを書くのもシンドイ。こういうときは「ツルツル書けるB級グルメ」に頼るに限る。

というわけで本日はRose Marketのシシカバブ。これは美味い。Mt. ViewのCastro Streetを西に向かい、El Caminoを越してちょっと行った右手。昼時には表にあるテーブルでものを食べている人がたくさんいるのですぐわかる。

Rose Marketはアラブ・ペルシャ系食品スーパーなのだが、裏に駐車場に面して窓口が開いている小部屋があって、そこでひたすらシシカバブを焼いている。表のスーパーに入って、レジでオーダーし勘定を済ますと番号を書いた紙をくれるので、それをもって裏の窓口に行き、待つことしばし。焼きたてのシシカバブが出てくる。Take Outしても良いが、その場でガシガシと食べるのが美味。

トレーの上全体に平たい巻物状のパン(というのかな、ピタブレッドみたいなもの)を敷いて、その上に紫蘇に似たスパイスを満遍なくかけたところにシシカバブを置く。さらにミントとパセリを山盛りにして、ほい、と渡される。適当に巻き巻きしながら食べましょう。

シシカバブは牛肉・マトン・鳥、ひき肉、とあるが、個人的にはマトンとひき肉がよろしいと思っている。トマトの焼いたのもおいしい。加えて、スーパーの方でしょっぱくてすっぱいヨーグルトドリンクを買って、ぐびぐびと飲むのもよろしい。ヨーグルトソーダなるものもあります。

店の前を何度か通りかかって、濃い顔をした人たちが大勢歩道に出したテーブルで食事しているのを見て「ここは何かある」と突入して発見した。大体、特定のエスニックの人が列をなしている食べ物屋に行ってみるとよいことがある。

みんな同じことを思うらしく、やたらと人が並んでいるラーメン屋で、美味しいものが食べられるのでは、とわけもわからず入ってしまったらしいインド人とロシア人と見受けられる2人組みの隣に座ったことがある。インド人らしき人の方は、ジーっとメニューを見て「ベジタリアンなモノはあるか」と聞いてお店の人を困らせていた。でも何事もリスクテイクしないとリターンも少ないですよね。

Posted by chika at 09:32 PM
August 03, 2003
Siebel develops dinosaur

ウェブをブラウズしていて見つけて笑った。Siebel develops dinosaur complex

Siebelが、dinosaur complexというお茶目なコードネームで新製品を開発した、という話かと思ってしまった。冗談のわからなそうな人だと思っていたら、結構キッチュな人だったんだTom Siebelって、、、、と思っていたらそうではなくて

Tom Siebel, chief executive of software maker Siebel Systems, and his wife (donated) $2 million to a Montana natural history museum to expand its dinosaur exhibit.

仇敵salesforce.comのCEOは、すかさずこんなコメントを。

"Perhaps they will also be able to display some of their dinosaur client/server software there as well?" said Salesforce.com Chief Executive Marc Benioff.

salesforce.comとSiebel(とOracle)の話としては、こちらもどうぞ
http://blog.neoteny.com/chika/archives/002378.html

アメリカの会社同士のライバル意識って、表面に出てくるので笑える。昔Kimberly ClarkとProcter Gamble(どちらも紙の会社ですね)の戦い、という記事で、どちらかの会社の社長が「毎朝鏡を見て、『どうやってあの会社を叩き潰そうか』と真剣に考える。うちの社員全員にそういう風に思って欲しい。」と真剣に語っていたが、これもおかしかった。歯を磨く手に力が入って口が血だらけになりそうだ。

Posted by chika at 10:27 PM